蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

タランチュラを食べる

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※本記事ではタランチュラの画像が出てきます。(広義の)虫が嫌いな方は閲覧にあたってご注意ください。

 

 どうも、蟲助です。

 今回はタランチュラを入手したので、その食味について記事を書いていこうと思います。広義の虫ではあるが、決して昆虫ではないクモ。節足動物なのは同じなのですが、昆虫のようにコウチュウ目、ハチ目、カメムシ目……と分類されるのではなく、鋏角類のクモ目という形で分類されます。鋏角類といえば、クモのほかサソリやダニ、カブトガニなんかもここに属しますね。一般の昆虫と鋏角類とでは体のつくりがけっこう違います。クモで言えば、特に糸いぼや書肺が特徴的ですね。そんなタランチュラちゃんの味に迫りたいと思います。

 なお、今回は一匹しか購入していなかったため、調理は行いません。買ったまま、塩のみのシンプルな素材の味わいです。

 

 それではさっそく、購入したタランチュラについての説明を。

 購入したのは以前と同じこのサイト、TAKEO。毎度お世話になっております。

takeo.tokyo

 タランチュラは一匹でなんと1980円。高いですね。高い。一人暮らし初心者、本日ようやくバイトの採用があったような僕にはとてもじゃないが易々と手を出せない食材です。もっとも、そう言いつつも後先考えず買っちゃったのでこうして記事を書いているのですが。

 TAKEOの商品説明から引用させていただくとしますと、このタランチュラというのは"Zebra Tarantula(Haplopelma Albostriatum)"なる種だそう。検索をかけてみると、ゼブラタランチュラのみならず、タイゼブラタランチュラなるワードも散見されました。確かに、タイからの輸入ですし、タイで捕獲したのでしょう。現地ではフライにて供されることもあるとか。う~ん、美味しそう。食べてみたいですね。商品であるクモ本体の加工というか処理については、加熱・乾燥の模様。前回の幼虫ミックスと一緒ですね。

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送られてきた袋。このいかしたクモこそがゼブラタランチュラです。

 袋を開封してみると、中からプラスチックの容器とタランチュラが。てっきり缶詰で来るのかと思いましたが、一目でタランチュラのかわいさが感得できるこれもまたいいですね。

 

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容器にぴったりと収まっている。

 さてこの容器ですが、開けた途端にドライタイプのキャットフードの匂いが鼻腔をくすぐる……! 衝撃を受けましたが、よりしっかりと分析してみると、そのにおいというのは煮干しと干しエビとが複合したようなものでした。がしかし、決してそれらだけではありません。曰く言い難い一種の臭みが隠れています。大まかな割合としては、煮干し:干しエビ = 8:2といったところでしょうか。

 なんだか、懐かしい匂いがします。というのも、ほんとうにこれ、キャットフードのような香りがして、実家の猫を思い出すんです。それはともかくとして、手に乗せるとこんな感じ。

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手に乗せたところ。かわいい。

 全長55mm。タランチュラは成体でおよそ60mm前後と聞いた覚えがありますから、水分が抜け縮んでいることを加味すると妥当な大きさでしょう(もちろん、人間の手よりも大きくなるような種もいます)。すっぽりと手に収まるその愛くるしさといったら、たまりませんね。小動物を飼うってのは、こんな気持ちなんでしょうか。もっとも、この場合は愛でるに留まらず食べてしまうわけですが。

 

 さて、大きさを測ったら、パッケージを開封。採取・加熱・封入、いずれの段階かはわかりませんが、脚が3本取れていました。取れた脚の付け根を見やると、まさにカニですね、これは。ならば、と脚をすべて取ってから頭胸部と腹部を食べることに決めました。

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タランチュラ、背面より

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タランチュラ、腹面より

 見てください、タランチュラを。なんと可愛らしいことか。体中に無数の微細毛が生えており、その様あたかもビロードのよう。甲殻類を思わせる重厚かつスタイリッシュな頭胸部、いかにも肉や臓物の詰まってそうな豊かな膨らみを持つ腹部。可愛らしい、いや、それ以上にこれというのは美しい。まじかで見て気づきました。クモは美しいのです。

 観察を終え、とりあえず、外れていた脚をひとつづつポリポリ食べてみました。ポリポリというよりは、サクサク。乾燥により水分はほぼなく、従って脚の内部はほぼ空洞。干からびた筋肉とスジとが残るばかりです。風味はまさしく煮干しや干しエビのようで、控えめに振られた塩も相まって煮干しをそのまま食べているような感じでした。後味として、極めてほのかに魚の練り餌のような蚕っぽい臭みがあります。やはり、虫っぽいですね。

 脚をちぎったり、体を掴んだりしていると汗をかかずともやたらと毛が手に付着します。しかし、本当に微細なため、口当たりに影響を与える印象はありませんでした。

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偶然にもうまく引き抜けた筋肉とスジ。カニっぽい……。

 手に取るに、さすがはタランチュラ、二本の鋏角(上あご)ごっついですね。太い。種によって毒を注入する役を担う牙も残っていました(鋏角で見えませんが、鋭く、黒光りしています)。頭胸部の前方、人間に例えるならばおでこぐらいの位置、それと両方の鋏角の付け根付近に黒い球のかたまりがありますが、見えますでしょうか? わかりづらいかもしれませんが、これが単眼です。通常単眼は8個ありますが、見たところこのタランチュラのそれは上に述べた部分にまとまっていますね。漆黒にしてつぶらな瞳です。かわいい。

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横から見たところ。膜やらスジやらが垣間見えます。

 横から見るとこんな感じ。頭胸部内部は膜等であまり見えませんが、せいぜい脳や胃腸の一部が入っているだけで、いかにもすっからかんな感じです。干からびていますね。さらに表面に着目すると、鋏角と頭胸部、腹部で毛の具合がまるで違うことがわかりますね。つくづく、美しい微細毛です。

 

 十分に観察を終えたら、いよいよ残りも食します。まずはじめに頭胸部、鋏角がモシャモシャっとする以外は、脚となんら変わりありません。サクサクで、煮干しのような風味がします。せいぜい、多少風味が強くなったぐらいでしょうか。本当にこれといった違いはありません。

 お次は腹部。期待を胸に、いざ食らう。ゆっくりと咀嚼。口に入れたはじめこそ煮干しであったが、一気に印象が変わった。圧倒的肉感。肉と臓物が混然一体となったものを噛み締めてそう感じます。風味そのものも大きく変わりました。煮干しを根底にしつつも、濃厚な香りが加わっている。それはまさにサソリの腹部。鋏角類同士、味が似ているというわけなのでしょうか(もっとも、タランチュラにはサソリのようないかにも毒か薬のような苦みと酸味はない)。少なくとも、不味くはない。そう言い切れるに足るだけの虫の肉らしいうまみを感じます。

 飲み下すと口内には後味が残るわけですが、これは噂通りの海老みそのような、香りとも臭みとも言い難い匂いと濃厚な風味がありました。なるほど、確かに美味い部類に入る。敢えて言うならば、そう、背ワタが残ったまま加熱した中型の海老のような風味です。乾燥し時間が経った状態でなおこのように風味を感じるのですから、現地に行って、新鮮な串焼きやフライでも食べようものなら一体どれほど風味豊かでうまみあるクモ肉を賞味できるのでしょう。未だ至らず学業と新生活に追われる日々であり、到底現地には赴けないのに、既に今からワクワクが止まらない。もうどうにも止まらない。僕の昆虫食ライフはまだ始まったばかり。でも、その前途は明るい。そう感じさせてくれました。

 

 さて、今回頂いたタランチュラですが、前回のサゴゾウムシ幼虫と共に、現地での新鮮な個体についての期待を大いに高めてくれる素晴らしい食材でした。しかも、少なくとも加熱・乾燥状態ではサゴゾウムシより美味しいのです。素晴らしいとしかいいようがない。いや、いいですね。本当に。

 幾らか昆虫(虫)を食べてきて、TAKEOでの昆虫の購入も引き続き行いますが、そろそろ実際に昆虫を自ら採取し新鮮なものを食べたいなと感じるようになってきました。

 まだ春は始まった半分に満たず、啓蟄こそ過ぎれどまだまだしっかり育った昆虫は自然にはあまりいません。しかし、もう少ししてゴールデンウイーク後、梅雨、それぐらいになればやがて増えてきます。そして初夏の頃になれば虫に溢れることとなりますから、野山に分け入り、ライトトラップを仕掛けてみるのも面白いでしょう。蝉なんかはキャンパス内で取り放題ですね。秋にはモンクロシャチホコだって同様にとれるでしょう。楽しみに過ぎますが、焦らずのんびり、気長に機を待ちたいと思います。

 また、ブログについてもどんどん講義が本格化する中で更新速度は落ちるかと思いますが、こちらものんびり、しかし着実に書き続けようと思います。よろしくお願いします。

 

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 それでは、また次の記事で。