蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

GW、虫食い男は上京す。

 どうも、蟲助です。

 10連休たる今年のゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 僕の方はというと、タイトル通り。東京まで虫を食べに行っていました。期間限定で米とサーカスにてグソクムシを使った料理が提供されると知り、友人と共に食べに行った次第です。

 オオグソクムシといえば、水族館で供されたり、ふるさと納税返礼品になっていたりしていますね。そういえば、初めて米とサーカスに行ったときはオオグソクムシだったかダイオウグソクムシだったか、丸揚げがメニューにあったような。

 海底に鎮座する巨大ダンゴムシ(ワラジムシ)。その見た目からして虫っぽく、しかし、海産ゆえに物珍しさに食べる人もそれなりにいるグソクムシ。昆虫を喰らう者ならばなおさら食べたくなってしまう。

 

 そんなわけで、上京。幾らか訪れたはずですが、いまだ慣れません。東京についた後は友人と落ち合い、せっかく東京に来たのなら、と開催中だったマニアフェスタの展示を見回っていました。このマニアフェスタ https://maniafesta.jp/tokyuhands2019gw/ なるものですが、さまざまのマニアが東京に集結……という企画とのこと。そこには「昆虫食マニア」という文字が! 地球少年 篠原祐太氏が出店なさっているとのこと。なんでもコオロギを使ったラーメンを開発しているのだとか。見逃せるわけがない。

 さっそくブースに行ってみると、そこにはコオロギラーメンのパンフレットとタガメを漬け込んだお酒が展示されていました。

 パンフレットを参照いたしますと、さまざまの産地や品種のコオロギを挽いて出汁を追及。出汁の取り方も複数の手法で行い、最終的に2種の出汁でもってスープを完成させたとのこと。麺にもコオロギ粉末を練りこみ、醤油に至ってはコオロギそのものに麹菌を生やしたり、米麹と混ぜ込んだりして発酵させたとか。まさに、至れり尽くせりなコオロギラーメン。そのこだわりには脱帽です。

 制作した虫料理やタガメエキス、および篠原さん自身の色々の行動がまとめられた冊子も見ましたが、いやもう、本当に短くもいい時間を過ごせました。昆虫食に関して、いい刺激をもらえました。

 

 コオロギで心を満たした後は、東京の街並みを楽しんでぶらぶら散策。人ごみに揉まれていると、いつのまにやらもう夕暮れ。というわけで、ついに上京の本命、米サーへ。

 錦糸町に駅から出で、路地裏テイストな通りを行く。飲み屋や性風俗店が所狭しと並ぶ路地。雰囲気がある。

しばらく歩き回り、無事米サーに到着できました。

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薄闇に灯る米とサーカス。

 曇り空なこともあって既に辺りが薄暗い中、店先にかかるは白提灯。でかでかと主張する米とサーカス。右上の鳥獣虫割烹という文字が仰々しい。入ってみると狭いカウンターの3分の2ほどが埋まっており、調理場の棚には各種の薬膳種が仰々しく立ち並んでいます。

 

 席に着き、さっそく友人と共に注文。グソクムシラーメンを2人前、昆虫10種盛りと飲み物。

 値は張るが、昆虫の誘惑には勝てません。虫尽くしの夕飯。

 乾杯をしてお通しを食べていると、さっそく調理場の隅からジュワジュワという音と共に香ばしい匂いが漂ってくる。リアルタイムで昆虫が揚げられている……!

 しばらくして、昆虫10種盛りが供されました。豪快な皿に乗せられて、目の前に虫たちが鎮座する。圧倒的迫力。

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圧巻の虫10種……!

 右上から時計回りに、バンブーワーム、ゲンゴロウ、バッタ、コオロギ、カブトムシ、タイワンタガメ、イナゴ、ハチの子、蚕、ケラ。

 イナゴ、ハチの子(クロスズメバチ)、蚕(蛹)は例によって佃煮。他は素揚げにして塩が振ってあります。相変わらずタガメだけはやけに塩辛い。後々調べると、塩漬けのものを調理したのがその塩気の理由と判明。

 ネットでメニューを確認していた時点ではオオスズメバチも入っていたのですが、入荷できていない状況ということで大きなバッタが飛び入り参加。10種でしめて2980円。

 

・イナゴ佃煮

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 安定のおいしさ。醤油の香りが際立っており、程よい歯ごたえ。海老に似たうまみがあり、非常に美味しく頂ける。長野などで今なおお手軽に愛される理由がよくわかる一品。

・ハチの子

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 頗る美味い。ため込んだ糞を尻から抜き出し、更に煮締めてあるから1匹1匹はかなり小さい。が、そのねっとりとした食感と濃厚なうまみは虫でありながら圧倒的な肉らしさを感じさせる。内山昭一氏による味覚センサーでの計測結果を参照すると、ハチの子ボイルの味と鰻の白焼きの味とはほとんど一致するとのこと。それが甘辛く煮つけられているのだから、どうにも不味いわけがない。

・蚕の蛹

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 丸々と身の詰まった蛹の佃煮。酸化しやすく、また桑を食べることもあって臭みがでやすい食材だが、今回のは食べやすかったです。やや皮が固いものの、甲殻類のようなうまみがしっかりと感じられました。

・ケラ

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 以前食べたものよりも一回り大きいサイズ。味は淡泊なものの、一回り大きければそれだけ肉も増えるからだろうか、以前のような薄い海老風味というよりは鳥の皮を揚げたもののような風味。殻も柔らかく、スナック菓子らしい口当たり。美味しい。

・バンブーワーム

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都合により、ゲンゴロウもこの写真でもって説明します。

 バンブーワームこと、タケメイガ幼虫。タケムシとも呼ばれ、名の通り竹を食べる。その食性ゆえ、茹では竹の清涼な香りがするそう。中国や東南アジアでは売られている反面、日本ではまるで見ません。揚げるとサクサクな食感でクセはなく、その淡泊な味わいはケラに似ているがもっと雑味のない感じ。

ゲンゴロウ

 鮮やかな緑色。ゲンゴロウは食性が腐肉なため、ゲンゴロウは糞抜きや加熱が必須とのこと。口に入れ噛み締めると、バリバリと外殻が砕けると共に、なんともいえぬ風味が漂う。薬臭くもまたどこかクセのあるうまみ。サソリよりかはよほどマシですが、かといって臭みを無視できるほど美味しいわけではありませんでした。

・バッタ

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 でかい。しっかりと揚がっており、赤みがかっている。1匹しかいない都合上、2人で食べるために縦に切り裂いたのですが、胸に繊維質な筋肉が詰まっているほか、腹部後端にも肉が。口に入れると、海老っぽいうまみが感ぜられる。それと共に、草の香りも幾らか漂う。抹茶や青汁のような、やや青臭さのある香りでした。美味しいのですが、イナゴよりかは劣る印象でした。

・コオロギ

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 ずっしりと重みのある大きなボディ。もちろん調理法の違いゆえか、フタホシコオロギの粉末のようなスパイシーな土臭さはなく、それよりかは単純な虫臭さがありました。これも縦に切り分けたが、外見通りに肉がギッシリ。バッタ同様、特に胸部に多い。揚げとは相性がよく、外はサクサク、中はしっとりとしていて魚肉に似たうまみ。美味な上に食べやすい。

・カブトムシ

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 丸々揚げられたカブトムシのメス。硬い外骨格を例によって切り分けると、中からは黒い肉が。サソリの肉に似た濃い灰色。背中側よりも腹側に肉が集中しており、香ばしさと共に甲虫らしい虫臭さが。いざ肉を口にすると、意外にもそれはムースのような食感でした。ただ、風味に関しては虫臭さとなんとも言えぬ酸味があり、うまみに乏しい。ただ、この素揚げに関してはさほど土臭さ、堆肥臭さはなかったというのが幸い。ゲンゴロウのように、クセのある味わいでした。

・タイワンタガメ

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 タイワンタガメのオス。腹部を開くために手で押さえてハサミで外殻を切っていくが、その時点で既に指先に青りんごの匂いが染みつく。懐かしい。揚げて膨らんだタガメを開腹すると、薄緑に染まった肉が。腹の方はやや粘稠で、胸の方は非常に繊維質。

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羽を広げると、やたらとかっこいい。

箸で肉をつまんでやると、すかさず漂う清涼なにおい。口に含めばまさに青りんご。塩気の聞いた暖かい肉を食べているにも関わらず、です。素晴らしい。匂いのもとたる性フェロモンは後脚付け根辺りの臭腺に蓄えられているとのことですが、加熱の際に全身へと流れ出たのであろうか、全身からいい香りが漂っていました。頭部・前脚も食べてみたが、こちらになるとさすがに芳香は弱くなっていた。

 

 ……以上、昆虫10種の食レポでした。さすがに10種ともなると中には曲者もおりますが、概して美味しい。というか、佃煮や素揚げというのは昆虫調理に際しては有用な調理方法であって、その時点でこの料理の美味しさは推して知れましょう。

 

 ここからは、今回の目玉であったオオグソクムシのラーメンについて。

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丸一匹が堂々鎮座!

 麺の上にはオオグソクムシ、大葉の上にはグソク味噌。グソクムシ尽くしのラーメンは、数量限定でお値段1780円。割高感は否めませんが、それにしてもインパクト抜群の素晴らしい1杯です。

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オオグソクムシのお顔。サングラスをかけているようで可愛らしい。

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腹面。意外にもしっかりした脚、蝦蛄のような尾。海産らしいですね。

 スープはグソクムシで出汁を取った塩ベースであっさりしており、ネギやわかめとの相性もバッチリ。塩水に浸るグソクムシやわかめ、海苔。海底感があっていいですね。 共に食していた友人によると、麺に大葉が練りこまれていた、とのこと。写真でも、よく見れば麺にところどころ緑っぽい粒が見えます。こだわりですね。

 せっかくのオオグソクムシ、冷める前に頂こう……ということで、まずはグソクムシに噛みつく。

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肉が詰まっている。頭胸部と腹部とでまた味も変わって楽しい。

 汁の滴るオオグソクムシ、噛み締めたとたんに甲殻類のうまみがじゅわっと広がる。美味い。肉を噛み締めるたびに海老や蟹のような香りが、濃厚なうまみが迸る。内臓を処理すれば臭みもなく美味しく頂けるとは聞き及んでいましたが、まさにその通り。ただ、殻は揚げてなお硬いためにうまく噛み切れず、とかく口に残る。そこが唯一の欠点か。

 また、臭みのもとたるその内臓の方も、グソク味噌という形で有効活用されておりこれがまた美味い。少々生臭さはあるものの、海老味噌のようなコクがありスープに合う。1杯で2つの味を楽しめる、満足感溢れる一品です。

 

 グソクムシラーメンも食べ終え、退店。少々値は張りましたが、素晴らしいひと時を過ごせました。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。 

 それでは、また次の記事で。