蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

タイコウチの味は何の味

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 どうも、蟲助です。今回の記事はずばり、新鮮な虫を調理する、というものです。


 この度、サークルの方から生きたままの虫を譲っていただけまして、新鮮な虫を食べられることと相成りました。今までは既に調理済みのものしか食べたことがなかったのですが、ついに自ら新鮮なものを調理して食することができた。やはり、新鮮なものは違いましたね。もう味の複雑さがすごい。ああ、生物を食べているんだ、という実感がありました。

 

 今回の食材ですが、まずこちらが、頂いたタイコウチ

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タイコウチ。かっこいい。

 シュッとしたフォルムとハサミのような腕が実にいいですね。呼吸管がまるで針のようで、どこかサソリモドキらしさがあります。ただ、薄い。実に薄い。調理次第で、なんとか味わえるのでしょうか……?

 

続いて、ブドウムシとアシナガバチ

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圧倒的虫感。

 冷蔵庫から出した瞬間からうねるブドウムシ。糸を吐きつつ、あちこち動き回るさまはまさに啓蟄。変温動物の溢るる生命感。ブドウムシことブドウスカシバ、成虫はあたかもハチのような見た目をしていますが、肝心の針はない。しかもモフモフ。キュートな擬態をするやつですね。幼虫は生餌としても扱われるぐらいですから、あるいは人が食べても美味しいのでは。楽しみです。

 仰向けになって固まっているのはアシナガバチフタモンアシナガバチでしょうか。ハチ、特にスズメバチ類の幼虫や前蛹は美味しいと聞きますが、成虫は美味しいのかどうか。以前、米サーの昆虫10種盛りでスズメバチを食べられなかったリベンジでもあり、是非とも試したいところです。

 

 と、簡単な紹介が終わったところで調理にはいっていきます。

 今回は茹でと揚げ、2種のアプローチで食べてみようと思いましたので、複数匹いるタイコウチとブドウムシを取り出し、茹で上げます。

 冷蔵庫から出した時にはスローモーションな動きも、熱水に投じれば忽ちに身をよじる。まさに虫達の叫喚地獄。が、食材は食材です。仕方なし。

  茹でているうちにタイコウチの色も若干明るくなり、いい具合に。

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皿に並ぶ虫。

 皿にはもう動かない虫。だんだんと見慣れた光景になってきました。今回は初挑戦ですから、まずはなにもつけずに頂きます。いわゆる素材の味、ですね。

まずはブドウムシ。経験則からして芋虫系は美味しいので先に試す。箸でつまみ上げ、手に乗せてみる。

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小さいが、美味しそう。

 手に乗って改めて感じる、虫らしさ。外皮から飛び出る突起状の脚、透けて見える内臓。虫は苦手ではないものの、いささか抵抗感を覚えました。まだ経験が浅いこともあり脳がこれは虫だ、食べ物じゃない、とシグナルを放出している。ネイティブな虫食いには程遠い。

 しかし、こうしていただき調理した以上は食べねばならぬ。というわけで意を決して口に放り込む。束の間の躊躇、そして噛み潰す……。外皮は意外にも弾力があり、新鮮ないくらのよう。やや冷めた芋虫がプチッとつぶれ、口内に風味が広がる。

 それは豆乳のような、魚卵のような。まったりとした優しい、味わい。そしてなんとも言い難い虫らしい臭みのあるコク。これは未知だ……。しかも、よく味わってみるとどことなく渋さと甘さも感じる。渋みというのは全くの想定外でした。驚き。この渋みというのは、どことなくブドウっぽいのかもしれません。

 続いていただくはタイコウチ。茹でている傍から湯になんとも言えない匂いが染み出していましたが、さて、どのようなものか。

 噛んでみたところ、ただただ硬い。見た目の通り、まるで身が感じられない。そして噛むほどに染み出る独特なハーブめいた芳香。なんだか、落ち葉を食べている気になってきました。うまみも乏しく、せいぜい、僅かな酸味を認められるぐらい。

 いや、落ち葉というよりはあれですね。ローリエのような、ああいった香りの強い葉っぱを食んでいる感じ。異彩は放っていましたが、残念ながら美味いとは言えないものでした。

 ちなみに、タイコウチを食べた後に緑茶を飲んだところ、どことなく紅茶っぽい風味がしました。爽やかさと生臭さが同居していましたが。

 

 茹での味を堪能したところで、続いては揚げ。3種をそれぞれ油に投入。箸でつまんだ途端に身をよじらせるハチにはちょっとした恐れを抱きましたが、あえなく油へ。

 

しばらくそのままにし、カラッと揚がったところで取り出します。

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見慣れた昆虫の素揚げ。

ちょっと写真が悪いのですが、ブドウムシは身が縮み、外殻が透けて見えます。ちょうど、以前食べたバンブーワームのよう。アシナガバチは毒にビビり、ちょっと揚げすぎてしまいました。タイコウチは油を吸って黒光り。

 

 まず最初いただくはブドウムシ。揚げの味はどうなのか。

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見た感じ、美味しそうなスナック。

 こちらの方が生感がない分、抵抗感なく食べられました。サクサクで、まったく癖がない。美味しい。タケムシもそうですが、幼虫は揚げるとみんなこんなかんじなのでしょうか。大豆っぽいうまみがあり、タケムシ同様スナック感あふれる一品でした。

 

続いては揚げすぎたアシナガバチ

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ハチのまんまの姿。これはこれで美味しそう。

揚げすぎてはいるものの、尻の黄色が美しいですね。味はブドウムシと同じで、まるでクセがない。揚げすぎて苦みがありますが、それ以外は普通の昆虫の素揚げ。どうにも、揚げというのは昆虫を食べやすい調理法であるらしい。よく味わってみると、後味にわずかな酸味が。また、飲み下した後にどことなく、サソリっぽい風味がありました。どこか薬臭い感じ。やはり、あの風味というのは毒由来のものなのでしょうか……。

 まずくはないが、かといってそれほど美味しいわけでもない。そんな印象でした。

 

最後にタイコウチ。茹での体験からして、どうにも美味いのか疑問が付きまといます。

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じっくり揚がったタイコウチ。お腹が膨らんでいる。

揚げた影響で腹が膨らんでいます。これならもう少しは食べ応えがでるのだろうか。

匂いは茹でよりいくらか収まっています。アツアツなまま、一口に頬張ってみる。

結局のところ食感はさして変わりないが、明らかに香りが違う。これは……なんというか、うまい棒のとんかつソース味のような香りだ……! 素揚げによるじゅわっとした油っぽさと相まって、まさにうまい棒!……と思っていたのですが、ダメ。しばらく噛むうちに、またあの独特の匂いが口内に満ちてきました。冷めるにつれ匂いが出てきてしまう。外殻の食感も改善されず、結局落ち葉を食む気分。

 とはいえ、最初の方の口当たりが明らかに改善されていたのはいい発見でした。

 

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 それでは、また次の記事で。