蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

初めての野外採集、味わう虫

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 どうも、蟲助です。今回書く記事は、野外採集で採れた虫についてです。

 

 改めて、長野はいいですね。現在住んでいる松本では、大学から幾らか上っていけばそこには自然豊かな山がどんと構えている。そこに分け入れば簡単に虫を採り、食味できるというわけです。素晴らしい。

  ……というわけで、松本初の採集で持ち帰った昆虫がこちら。

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コクワガタのつがい。カブトムシを食べたら、当然クワガタムシも経験したい。

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ヘビトンボザザムシに紛れ込む方ではなく、立派な成虫。

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コオイムシ。卵持ちも!

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ミズカマキリ。身はほぼなさそう。味はいかに。

 なかなか個性的なメンツ。コクワ、ヘビトンボ、コオイ、ミズカマ。まったく味の予想がつかない。いずれの味も非常に気になります。これは食味のしがいがありそう。今回はコオイムシは子持ちですから、その卵まで味わえます。虫の卵……まさか、食べる日が来るとは。

 

 今回食べるのは以上の4種ですが、採集の過程で様々な虫を見つけることができました。池ではコオイムシらの他にナミゲンゴロウの幼虫・成虫、樹上にはカレハ系の毛虫やヒメヤママユ幼虫、ライトトラップにはベニスズメなど大量のスズメガ類とオオゾウムシ、ミヤマクワガタ。虫だけでなく、シュレーゲルアオガエルの鳴き声が響いたり、鹿やハクビシンがちらっと見えたり。夜の山道は面白い。

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大きなナミゲンゴロウ

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丸々と肥えたヒメヤママユ幼虫。これも採集すればよかったかも。

 さて、虫の紹介も終わったところで、調理の方へ。

 今回はヘビトンボコオイムシに関しては茹で、揚げの両方を試します。

 まず、いったん捕獲してから冷蔵庫に入れておいた虫たちを取り出します……が、出して一分も経たない内に、もう動き始める。油断していたら、箸でつまみ上げた際に元気な方のヘビトンボに謎の液体をかけられました。あれは威嚇だったのでしょうか。尿とも体液とも区別がつかない、やや褐色めいた虫らしい臭みの液体を噴出されました。調理しようと企む側としては困ったものですが、その生命力は素晴らしい。

 生の昆虫には危険がつきもの。まずは十分な加熱というわけで生きたまま茹で上げます。茹で上がりはこんな感じ。

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全体的に暗い茹で上がり。

 茹でた際にはそのままですが、この後食べるにあたっては食感を考慮しミズカマキリの脚やヘビトンボの翅は取り除きました。

 しっかり加熱したところで、まずは茹でのみで虫を味わう。

 はじめはミズカマキリ。ほっそりとした身、茹で上がりでは特段においはしません。

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ここまでくるともはや小枝。細い、小さい。

 口に運び、噛み締める。……硬い。タイコウチと似た食感。こちらの方が全体的に細い分、うっかり歯に挟まってしまいそうなほど。味の方はというと、まるで味がしない。くさみがなければうまみもない。ほのかに大豆っぽい味でしょうか? まったくクセがなかった。かつては長野で佃煮なんかにして食べられたと言いますが、常食には到底及ばないな、という感想です。

 つづいて、ヘビトンボ

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幼虫より成虫を先に食べることになろうとは。羽をむしるとこんな感じ。

 羽をむしった後だとなおのことアミメカゲロウの仲間だとは思えない風貌。すっかりお腹もぺちゃんこですが、お味はいかに。

 口に入れてみると、ミズカマキリとは打って変わってしっかりとした風味。しかし、美味しくはない。実に独特で、しかし好ましい香りではない。なんというか、生臭さのある虫らしいクセを更に強めたような香り。味の方は、強い匂いに隠れがちですが淡い酸味と甘みがあり、後味にいくらかのうまみが感じられました。せっかくの虫らしいうまみがあるのに、クセが強すぎる印象です。また捕まえる機会がありましたら、そのときには佃煮や甘露煮の方向でも試してみたいですね。

 最後に、コオイムシ。茹でで食べるのは子持ち。

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立派な子持ちのオス。

 まずは、背中に乗った卵から。茹でる前は透明感の薄い白、といった風貌でしたが、今や黄みがかっている。なんともセクシー。噛み締めると、小さいながらにしっかりとした味が! 濃厚で、甘みとうまみが強い。これは美味しい。虫らしい臭みは残っていますが、どこか魚卵にも通じる風味な気がします。初の昆虫の卵、いい経験になりました。反面、成虫の方はミズカマキリをそのまま大きくしたかのよう、特段の風味は感じられません。もうちょっと大きければ、香りはさておいてタガメのように筋肉らしさを味わえたかもしれない……。

 さて、お次は揚げでの調理。

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素揚げの虫達。クワガタの甲殻が黒光りする。

 どうも、揚げると虫たちは皆一様な雰囲気になりますね。

 まずは、クセの強かったヘビトンボから頂く。

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もともと暗い体色の方を調理しました。

ヘビトンボはやはり外皮が薄めな故か、早く揚がりました。むしろやや焦げ気味。腹部後端から出ているのは、身か、それとも卵か。どうにもつぶつぶに見えるので、卵っぽい気がしますが……。

 見た目にはスナックな感じですが、食べてみた口当たりもその通り。あれほどあったクセは姿を消していました。茹ではクニュクニュ、と虫の肉らしい食感でしたが、こちらは外がサクッとして、腹部の方には肉の詰まった食感もあり、食感的にも揚げの方がより美味しく頂けました。ただ、気づいたのですが、虫って揚げると結構みんな同じような風味、食感になりますね。美味しいは美味しいのですが、個性が失われがちなのが少し残念です。コオイムシも似たようなもので、外皮がパリッとして食べやすくなったこと以外、特段の変化はなし。茹でよりかは油の方が合います。

 最後に、コクワガタ

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ツヤツヤと黒光り。

  いかにも硬そう。腹が膨れ、後翅がはみ出て、かつて食べたカブトムシやコガネムシとそっくりな風貌です。いい具合に揚げられたのでは。

 小ぶりな分、しっかりと集中して味見。噛んでみると、バリボリと音を立てる。やはり硬い。腹の肉からは、じわっと広がる甲虫らしい風味……! しかし、そこにカブトムシのようなまずさはなく、むしろ酸味が隠れた甲虫らしい風味のなか、ほのかなうまみが感じられるほど。コガネムシと似た風味でした。

 さて、そんなこんなで意外性に満ちた今回の虫達。個人的には、コオイムシヘビトンボ素揚げ>コクワガタ素揚げ>コオイムシミズカマキリ茹で>ヘビトンボ茹で、の順で食べやすかったです。

 本格的な野外採集は初めてでしたが、観察も調理もできいい経験になりました。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 それでは、また次の記事で。