蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

セミ会体験記

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 どうも、蟲助です。今回の記事は「セミ会」に参加した感想を書いていこうかと思います。

 

 さて、「セミ会」。そもそもこれはなんぞや、という話ですが、正式には「プチジビエ会」。NPO法人 食用昆虫科学研究会 https://shockonken.org/ が主催する昆虫食イベントで、今回は夏期開催ということで旬の(しかもとりわけ美味しい)セミを主軸に据えたものとなっていたというわけです。ジビエという名が指す通り、真夏の生命に満ちた中で虫を捕獲し、食料として美味しくいただこう……という趣向のもと開催されました。

 開催されたのは8月3日、東京都府中市にて。食昆研の一員として、僕も運営側で参加させていただきました。テスト期間でしたが、なんとかスケジュールを調整しての参加。その際のあれこれを書くと長くなってしまうので省きますが、ともかく、いい経験になりました。いろいろな意味で。

 

 そんなこんなで、セミ会当日。会場に赴くとそこには食昆研の方々と冷凍された大量のセミが……!

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山盛りになったセミの幼虫と羽化したての成虫。

 画像はちょうどさっと湯がいて解凍したところのもの。山盛りの虫というのはなかなか日本ではお目にかかれない光景。食昆研の佐伯さんと水野さんが予め捕獲してくださったようで、これに加え当日捕まえたセミ+αを調理して食べるとのこと。

 解凍が終わると、僕を含め調理スタッフがセミの下ごしらえを開始。絶賛ハンティング中な一般の参加者の方々が到着する前に終えるべく、急ぎで準備を進めます。

 まずはそのまま、切らずに下味をつけて燻製に。後に紹介しますが、これが実に美味しい。

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網の上に並ぶセミ。すごい光景だ……

 燻製用のセミを除いたら、残りは全部一口大に切っていく。セミを包丁で切る、この作業は実に新鮮な体験でした。やはり、なんだかんだ外骨格はすごい。サクサク切り進められるのかと思っていましたが、キチン質の殻は硬いだけでなく弾力があり、しっかり切り込まないとうまく分解できない。また、幼虫が思いのほか身が詰まっていて、改めて虫の構造の妙を味わいました。成虫になるとあれだけスカスカになってしまうのに……。

 少々グロテスクなので画像は載せませんが、切り刻んだ断片から見えるセミの肉は、幼虫は肌色にほど近い薄い茶色、成虫は胸部ぐらいしかろくにありませんが濃い茶褐色を呈していました。思ったより肉々しかったです。

 燻製を作っている間、切り終えたセミ及び野菜を用い、更にかき揚げと炒め物を作っていく……というところで、満を持してハンター達が会場に到着。大人から子供まで、手には虫網、肩から携えるは虫かご。もちろん大量の虫が詰まっています。お目当てのセミからバッタ、トンボ、果ては巨大な幼虫(スズメガ)まで……。せっかくの食材なので、これらも湯がいて油の海へダイブ。贅沢にも昆虫のミックスフライというわけですね。

 ……そんなこんなで、出来上がったのが以下。

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セミの燻製、縮めてせみくん。

 皿にちょこんと置かれたセミの燻製。こうしてみるといかにもおつまみっぽいわけですが、事実これは酒に合うと思います。塩気を強めに味付けしてあり、セミ肉の濃厚なうまみとナッツ系の風味にスモークの香りが相まって非常に美味しい。見た目は完全に虫なのに、あたかもソーセージを食べているかのよう。これは感動ものです。

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大皿にはセミかき揚げが!

 続いて、セミかき揚げ。高温と油とでセミの外殻はサクサク。衣のサクサク感とのハーモニーは素晴らしい。セミだけじゃない、油を吸った玉ねぎのうまみや大葉の爽やかな香りもたまらない……! ちなみに、かき揚げは僕もお手伝いしましたがはじめはなかなかうまくいかず、いくらか失敗作を出してしまいました。美味しく食べるためには調理技術も重要なのだと痛感させられました……。

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セミとピーマンの炒め物。

 こちらはセミとピーマンの中華炒め。脚がそのままなセミですが、この通り、案外肉が詰まっているものなんですね。中華出汁のうまみとセミ肉の食感がマッチしている一品。油で炒められたピーマンもいい味を出しています。

 ハントされた他の虫も、サックリ揚げられて食卓に。

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昆虫ミックスフライ。見た目のインパクトがすごい。

 注目すべきはバッタと幼虫。バッタやイナゴは海老、蟹と同じで赤色色素(アスタキサンチン)を外殻に含んでいるため、単純に熱を通すだけだとほの赤く色づくのです。実にきれいな色。対して、幼虫からは赤の補色たる緑色が滲んでいます。これは揚げたときに幼虫の皮が破裂し、体液が油中に拡散した結果です。そう、虫の血液は鉄ではなく銅を含むので、こうした体液に満ちたものを熱すると緑の血液が流出するのです。

 また、これらの他にもセミのこまぎりをパフとともにチョコレート生地に漬け込んだ、セミチョコなるデザートもありました。当然、これもまた非常に美味しい。虫は甘味にも合うのです。

 以上の料理はいずれも水野氏らによるもの。流石は昆虫食の先達、「料理」としての昆虫食にも卓越されている……。僕も経験を深め、ただ昆虫を食べるという段階から料理にうまく活用する、というレベルにまで早く到達したい。

 

 ここまで料理を紹介してきましたが、実際のセミ会ではこれらの試食会を行った後、内山氏と佐伯氏による講演会がありました。とても面白かったのですが、その詳細については本記事では触れません。有料のイベントですので、食レポはともかくその点についてまで書いてしまったら意味がない。どうかご容赦くださいませ。

 

 さて、そんなセミ会、もといプチジビエ会ですが、実は夏期以外にも開催する予定となっております! 詳細につきましては食昆研のホームページの方で公開されると思いますので、実際に虫を食べてみたいという方や、昆虫食の専門家の話を直に聞きたいという方は是非そちらへの参加をご検討ください……!

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは、また次の記事で。