蟲食べる日々

昆虫食を中心に記事を書いていきます。

へぼ飯とチャーハンと

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 どうも、蟲助です。年の瀬が刻々と近づくこの頃。今年のクリスマスイブは非常に残念でした。まさかプレゼントをもらうのではなく、奪われるとは……(おんぼろスマホが遂に壊れた)。せっかく作ったローストビーフを撮影できないだけでなく、ブログ用のへぼ飯の画像もなくなってしまったので悲しい限りです。

 

 そんなわけで今回も画像は載せられていないのですが、ついこの前作ったへぼ飯+αについて書いていこうと思います。

 

 とまあここまで「へぼ飯」で通してきたわけですが、この「へぼ」とはすなわち、クロスズメバチの幼虫ですね。ハチノコ。成虫の方はジバチだとかスガレだとか呼ばれることも。

 一重にハチノコといっても、実のところオオスズメバチのハチノコも、ミツバチのハチノコもハチノコとして食べられているのが実状です。前者は九州は高千穂などで食べられていて、内山昭一さんの著書『昆虫は美味い!』に曰くはオオスズメバチ前蛹はフグの白子のようなうまみがあるのだとか。いや、気になりますね。今後オオスズメバチのハチノコに出会えたら是非とも食してみたい。ミツバチの方はこの間缶詰を見かけました。へぼに比べると幾分か安かったです。クロスズメバチは肉食ですが、ミツバチは草食(というか花粉や蜜)。やはり、味わいも変わるのでしょうか。今度はミツバチの方のハチノコもレビューしたいですね。

 

 今回使ったへぼはこちら。

www.miyashitakiyoshi.co.jp

 松本市の宮下清志商店様が取り扱っているものですね。65gで1620円。gあたり約25円。学生の身としては、普段はそうそう手の出せない一品です。やはりお腹はすいてしまいますから、質よりも量、につい流れてしまいがち。もっとも、すがれ追いは大変な作業であって、加工以前にハチノコを仕入れるだけでも結構コストかかるので仕方がない。具体的に、すがれ追いがどんなものか紹介した記事を見つけたので紹介しておきます。

www.e-aidem.com

 

 今回は、そんなハチノコを一瓶と米2合とでへぼ飯を炊きました。

 研いだ米を炊飯器にセットし、ハチノコを全部投入。薄っすらと白濁した液面に浮かび上がる幼虫や蛹、成虫……。見た感じはまんま虫です。幼虫は大きいものも小さいものも入り交ざっていますが、全体に煮詰められて縮んでいます。特に小さいものは蛆虫のような見た目。まじまじ見てみると、少し抵抗感があるかもしれない。成虫はまんまクロスズメバチ。これに関しては以前にハチを揚げて食べた経験もあり、特段の抵抗なし。単純に食材ですね。意外だったのが蛹で、これ、成虫より結構大きいんですね。幼虫は煮詰められて水分が抜けてますが、むしろ蛹は膨張しているように見えます。釜に浮かぶ幼虫達ですが、ローヤルゼリーに浮かんでいるみたいでもある。ここに醤油と出汁を少々加え、後はじっくり炊き上げます。

 

 しばらくするといい匂いが湯気と共に漂ってきまして、電子音と共に蓋を開ければ薄茶色に輝く米とへぼ。せっかく写真を撮っておいたのに、スマホが壊れたことが実に悔やまれる……。

 熱々のまま椀に盛り、万能ねぎと柚子皮を散らせばへぼ飯完成! 岐阜などの一部では慶事で出されることもある、そんな高級料理の完成です(もっとも、ハチノコが高いだけで作るのは至って容易なわけですが)。

 

 まずは、そのまま一口。炊き込みご飯の香ばしい香りと共に噛み締めると、ご飯と共にへぼが弾け、多少の虫臭さと濃厚なうまみが広がる。噂には聞いていましたが、確かに鰻のようなうまみがあり非常に美味しいです。ギ酸かなにか、たまに爽やかな酸味も感じられて面白い。ねぎや柚子と共にかき込むのも実にうまい。爽やかな香りとへぼのうまみがよく合う。

 その他に七味唐辛子や山椒も試してみたのですが、どちらも非常によく合います。虫臭さが一層薄まる上に刺激が増し、非常に満足度が高い。特に、へぼ飯に山椒とねぎの組み合わせは最高ですね。さながらひつまぶし。地元で食べたあの味が思い起こされました。ということは、今回は試していませんがわさびや海苔、だし汁とも合うのでしょうか。次回作る際には是非とも挑戦したいです。

 

 非常に美味しく、一人で食べてしまうのももったいない、ということで大学で数人に賞味してもらいました。お世辞もあるとはいえいずれも好評で、またへぼそのものの味については、僕自身が感じていた鰻っぽいというものの他、蝦蛄みたいな味、という意見も得られました。確かに、虫臭さが残っていることもあり、言われてみれば魚系というよりか、どことなく海の甲殻類っぽい気もする。蝦蛄も蝦蛄で美味しいんですよね。なかなか殻を剥くのは大変ですが、ボイルされた身はうまみが詰まっていて、時折見つかる真っ赤な卵もコリコリして楽しい食感で。

 話が逸れましたが、結局、試食してもらった後に残ったへぼ飯はチャーハンにしました。ここでようやくタイトル回収。甘辛く煮つけられたへぼ、チャーシューの代わりになるんじゃないか、とふと閃いての行動。突飛でしたが、これもまた実に美味しかったです。たっぷりのねぎと胡椒とでスパイシーに。ごま油で炒めたことでへぼは香ばしく、さらにうまみを増して極上。

 へぼ飯だとあまりに直截、というか虫っぽさが結構全面に出ていますが、チャーハンにすればねぎや卵に紛れていることもあり見た目も華やか。味も美味で、昆虫食初心者へのとっかかりとしてはかなりオススメです(へぼ飯自体も非常においしく、同様にオススメ。ただ、見た目の虫っぽさでいうと……)。

 

 ということで、今回はうまみ詰まった山の幸、へぼを使った料理についてでした。それにしても、やはりどうにもへぼは美味い。これまで食べてきた虫にはそこまで美味しいとは思えないものもそれなりにありましたが、へぼは文句なしに美味い。やはり珍味として未だ根強く残るのも当然、ということなのでしょうか。

 ただ、伝統的な食としての枠ではなく、今回のようなチャーハンだとか、あるいは燻製にしてみたりだとか、そうしたもっと別な料理の可能性もあれば楽しいしもっと普及するのではないかな、と思ったり。

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。それでは、また次の記事で。